ランタン谷トレッキング

2019年3月26日

 

「世界でもっとも美しい谷」といわれるネパールのランタンコーラ。

シャクナゲの咲く時期をねらってのツアーに参加した。

カトマンズの空港で荷物が出てくるのをまっていると、いきなり停電。すぐに明かりはついたがこれがネパールということらしい。

 

外は雨。これは珍しいらしく、通常は埃っぽい空気に迎えられるそうだ。雨のおかげで埃になやまされることなくホテルへ。先に荷物を部屋に入れておいてくれたのだが、私たちがいざ部屋へ入ろうとすると、カードキーが反応しない。ホテルの人が何人も来たが、結局普通の鍵を渡されて、それを回して使う。どうも充電切れらしいかった。アナログが一番(^O^)

 

2019年3月27日

 

翌日は一日バスにゆられて、シャブルベンジへ。

カトマンズ市内もとんでもなく凸凹道だ。郊外へ出ると、インドからのデコトラックと頻繁にすれ違う。インド、ネパール、チベットと、物流は盛んなようだ。

道路はたまに舗装、山あいになるとよく転落しないと思うような悪路が続く。途中、真っ赤なシャクナゲの花に出会う。日本のシャクナゲと違って、見上げるような高い木となっている。遠くガネーシュヒマールの山並みを望む。

2019年3月28日

 

早朝、カウベルのような音が聞こえる。山に荷物を運ぶロバのようだ。私たちの荷物も3人のポーターと7頭のロバが運んでくれるらしい。

朝は紅茶と洗面器1杯のお湯を部屋に届けてくれる。これが毎朝の日課となる。

 

8時に出発、ランタンコーラ(川)沿いに行く。樹林帯の中で、白っぽい顔のサルや大岸壁の真ん中にあるヒマラヤオオミツバチの巣を見る。

 

やがて両側に見事なシャクナゲの木が続くが、あいにく蕾はまだ固い。帰るころに開いていることを期待して、この日はラマホテル(2435m)へ。これは地名で、ホテル名ではない。私たちが泊まったのはジャングルビュー・ゲストハウス。

2019年3月29日

 

この日はランタン村へ。2015年4月の大地震による土砂と雪崩で、村ごと埋まってしまったという気の毒なところ。背後の岸壁が剥離し下部はモレーン状に扇形に広がった石の堆積がある。この下にかつての村があったということで、完全に埋まってしまった。その先に新ランタン村がある(3541m)。

 

夕方、谷の奥に見えるガンチェンポ(6387m)が夕日に赤く染まりそうになり、大型カメラを設置する人も。残念ながらやがて雲が湧いてきてしまった。

 

2019年3月30日

 

だんだん高度が上がってきたので、朝晩血中酸素濃度を測定する。13人のグループでネパールが初めてなのは私だけ、大半が70代、なかには80代の方もいるが、何度もトレッキングに来ているので、高度順応も順調そうだ。私はもともと血中酸素濃度が低いことが分かる。20代の添乗員は自分も低いが複式呼吸で頭痛などはおこしたことはない、と呼吸法を教えてくれる。目の前のロウソクを吹き消すように息を吐ききると、新しい空気が入ってくる。それを繰り返す。

 

だんだんチベットの文化色が濃くなってくる。マニ車やマニ石が出てくる。マニ石は左側を通る。上りと下りの一方通行だ。

 

この日の宿泊はキャンジンゴンバ、同行のシェルパ、チョンバさんのロッジに泊まる(3840m)。富士山より高い。ランタンリルン(7228m)を仰ぎ見るようだ。

  

2019年3月31日

 

さらに奥に進む。谷がだんだん狭まってくる。高度が増すにつれて息が切れてなかなか進めない。それでも呼吸法を教わったせいか、頭痛や吐き気に襲われることはない。最後からゆっくりゆっくり進む。

 

この日はランシサカルカ(4125m)でテント泊なのだが、雪の斜面を荷物を積んだロバが下れないので、予定のキャンプ地に行かれない、戻るしかない、とシェルパが言う。何とか進もうと、人間が雪を踏み固めてロバの道を作ることで乗り切ろうとした。その間私たちが先に下って、ロバを待つことになった。

通常は先にシェルパが先行してテントを張って私たちを迎えてくれるのだが、今回はそうはいかない。結局ロバは下れず、荷物はシェルパやポーターが手分けして運んでくれた。ロバは1時間以上引き返した場所で夜を過ごすらしい。大変だな、と思うが、時間感覚は私たちとは違うらしい。それくらいは当たり前?

 

雪が降り始めた中、次々とテントが張られるが、下は岩がゴロゴロ。寝られるのかと思うくらいだったが、案外岩の間にはまりこんで快適だった。高山病予防のため水をたくさん飲んで、血液がドロドロにならないようにする。そのため夜中にしょっちゅうトイレに行きたくなる。シュラフからはいだし、テントの入口を開け、靴をはくだけで息が切れる。息を整えて外に出ると、雪はやんで満天の星空だ。北斗七星が大きく見える。一つ一つの星が大きく明るい。その間にはもっと小さい星星がきらめいている。4日かけてやっとたどり着いて見ることができた素晴らしい光景だった。

 

2019年4月1日~3日

 

4日かけて登ってきた同じ道を3日で下る。本当にここを登ったのだろうか、と信じられない思いがする。シャクナゲの林はやはりまだ蕾が固かった。残念。

 

4月2日、やっとWi-Fiが有料でつながるところで、1日遅れで新元号を知る。