2016年前半の日々
2016年6月20日
面白い器をいただいたので、それを包袱紗にしてみました。濃茶器の代わりに棗を袱紗で包むのが包袱紗。中身は棗ではありませんが、きれいに包めました。
大津在住の山本哲也の銀彩の焼き物。見た目は陶器のような感じがしません。なんだろう、という感じです。手に取ると陶器の重みをずっしり感じました。
煮物椀は水無月という6月のお菓子をまねて、真薯に小豆を散らしました。
水無月が三角形なのは、室町時代にはこの時期、氷室に保存しておいた氷を食べたそうで、それを表しているそうです。冷蔵庫のない時代ですから、贅沢でしたね。
小豆には悪魔祓いの意味があるとか。
主菓子は若鮎、干菓子は蛍のとまる薄氷と紫陽花。
やはりお菓子は季節感がいろいろ楽しめます。
今回は新しいお客様が2人おいでになり、楽しかったです。「気取らない雰囲気で肩の力が抜けて楽しめました」と言っていただき、嬉しかったです。
2016年5月28日
前回のご自作の作品を、道具好きが集まって楽しみました。
前回、水がもって花が入れられなかったのを、漆で補修して水がもらないようにして、お持ちくださいました。
小ぶりの花を、と思ってベルテッセン。
花が後ろを向いてしまってちょっと残念。
竹の姿、節の面白さ、窓の開け方など、見所が多く、また竹を選ぶ時のお話なども面白く伺いました。
お菓子は一幸庵のわらび餅。お客様がわざわざ買ってきてくださいました。最近はなかなか手に入りにくそうです。
あんまりにもフワフワなので、銘々皿で。美味しかった。
志野のもぐさ土で作ったというお茶碗。もぐさ土は、今や非常に貴重な焼き物用の土。こだわりのお茶碗です。手にも馴染んで、お茶も一段と美味しくなります。
濃茶器は備前で、自然釉がたっぷり厚い。これは窯の市によるものだそうで、作家が一番いい場所のひとつを提供してくれたとのこと。
蓋、仕覆も茶入に合わせてあつらえたそうです。
茶杓の銘は風流。堺の南宗寺の和尚さんがつけたそうです。南宗寺は千利休が修行をしたところ。
陶芸好き、コレクターなど、焼き物に一家言あるお客様たちで、焼き物談義が盛り上がりました。
久々に居酒屋に移動して、更に陶芸談義は続いたのでした。やや病気?
大ベテランからも「自分以上に知識、見識のある人との会話は楽しいですよね~(^_^)」という感想をいただきました。
2016年5月5日
今回のうさぎの会のお客様は男性のみでした。何回も来てくださる方ばかりでしたので、ベテランが若い人にお茶のひとつのあり方を伝えたいというお申し出をいただきました。
掛物は「茶は知己に逢いて喫す」木版の色紙です。親しいい人たちとお茶を楽しむという、本日の趣旨にピッタリと思って選びました。
なかなか面白い風炉先が手にはいったので、それを生かすためにも、盆点風に。
人数が少なく、お馴染みの方ばかりでしたので、点心にして私も席に入って一緒にいただきました。季節の豆ご飯、お椀は鮎です。
主菓子も新茶まんじゅう。
濃茶器、茶杓とも、ベテランご自作のもの。何度もいらしていますがご披露されたのは初めてでした。若い二人がお茶の席に初めて来た時にもいらした大ベテランです。茶道具は自分で作る苦労のなかにある楽しみを語ってくださいました。男性はやはり同性に思い入れがあるのですね。フムフム。
すばらしい竹花入れもお持ちいただきましたが、残念ながら水がもり、使えませんでした。しかし竹をどのように探し、どのように選び、どのように切るのか、という話は、いたく二人の興味を引いたようです。終わってから竹取りに行く話で盛り上がっていました。
お客様の一人は東南アジアに出張の多いビジネスマンなので、以前から今度行ったら香木探してきてね、と冗談まじりに言っていましたが、インドネシアからいろいろ買ってきてくれました。もう一人もインドに行ってきたということで、やはり香木を買ってきてくれました。
香木は見た目では本当に香るのか分からないということで、ちゃんとたいて香りのあることを確かめて買ったそうです。高いのに、ただの木屑では困りますからね。
さっそくあれこれ試してみました。レンコンのように穴の空いた木や粉になっているものなど、珍しいものもありました。それぞれ異なった南国の香りがします。お茶で使うように加工されてはいないので、適当に炭に入れてみましたが、もうもうと煙がたって大慌てしたり、樹脂がブクブク染み出るのを面白く眺めたりしました。
東南アジアで香木を買いにいくと「キャラ(伽羅)、キャラ」と声をかけてくるそうです。これは蘭奢待2だ、とか、相変わらずにぎやかなうさぎの会でした。
2016年4月25日
端午の節句も近いので、鍾馗の絵描かれた凧を色紙に貼ってあるものをかけました。
いつもいらしてくださる方だけで少人数でしたので、点心にして私も席に入って、ご一緒しました。
藤の花のお菓子。ちょうど季節ですね。
今回はスマホには拡大鏡機能がある、高い墨を擦って残った時はスポイトで吸い上げてしばらく保存ができる、鉄刀木は「たがやさん」と読む、などなどさまざまな話題が登場しました。勉強になるねえ。
2016年3月26日
今回はある方の提案で、「抹茶の値段は味に比例するか」を試してみることになりました。
20g1200円の金輪と5000円の天授をもってきてくださったので、薄茶の時にブラインドテストをしてみました。
小山園のパンフレットには「抹茶は上級になるほど色が鮮やかになる」と書かれていましが、実際に見比べてみると、価格が5倍(正確には4倍強ですが、席中では5倍のお茶と呼ばれました)の方が色が白っぽかったです。
薄茶はこだわりのベテランに点てていただきましたが、薄茶の泡のクリーミーさ、もったりとした泡の厚さを感じるもので、抹茶の違い以前に、私たちが点てるのとは二味くらい違うお味でした。
飲み比べた結果は、5倍のお茶の方が苦味がある、と感じた人が半分くらい、予想とは違う結果でしたが、5倍の方が味の余韻がかなり長く残る、というのは全員一致した感想でした。
しかし5倍おいしいか、というとそれは疑問で、値段の差は味の差もありますが、あとは希少価値などの付加価値に値段がついていることを改めて感じたのでした。
ワインのソムリエのように、抹茶の味も評価する人はいないのか、とその友人に前々から聞かれていました。彼女はお茶は習っていませんが、味に対して並々ならぬ関心があるのですね。お茶をやっている人にはない発想で、興味深い飲み比べが実現しました。
焼き物のコレクターでもある友人は、酒器と茶碗ももってきてくれました。コレクションしているだけでなく、実際の茶席で使われることで器がより生きると喜んでくれました。
手になじむ可愛らしい素焼きの酒器(中里太亀作)、鮮やかな青の祥瑞の盃(福西雅之作)。
窯変の美しい天目茶碗(今泉毅作)も使わせてもらいました。