2024年4月14日

 

お茶は初めて、という方が来てくださいました。「お茶のことは全然知らないのですが、いいですか?」 とおっしゃって、若干不安もおありだったようですが、「好奇心が上回りました」とのこと。そのご期待に応えられたようで、喜んでいただけました。うさぎの会の原点に戻ったような日でした。

もちろんベテランの方もしっかりサポートして下さいました。一座建立で楽しんでいただけて幸いです。

 

 

掛物は「桐咲くや 本堂前の 六地蔵」

大日本茶道学会の創設者である田中仙樵の筆。

そろそろ桐の花も咲くころですので、掛けました。六地蔵は仏教の六道を表したものだそうです。

炭点前はありませんので、香合を飾りました。法隆寺の古材によるもので、山崎如悦作です。

 

 

向付はホタテ、汁は大根です。ホタルイカの季節でしたが手に入らず残念。

 

煮物椀はエビ真薯、椎茸とセリで春の香りを添えました。

 

 

焼き物は鮭のつけ焼き、強肴はタケノコとワカメの若竹煮です。

取り箸は茶友が削ったもの。うさぎの会で初めてお茶にふれ、その後お茶事がやりたくてお茶事を1000回以上なさっている先生について、2年で茶事の亭主デビューした方です。

その先生が京都から竹を取り寄せて削った時、教えていただいたのでしょう。青さを保つために濡れた状態でラップに包んで送ってくださいました。すぐ冷凍庫で保存しましたが、徐々に色は変わってしまいますが、その心根が嬉しかったです。

 

 

箸洗いはミョウガ、八寸は小肌とソラマメでした。

両細もいただいた青竹の箸です。

 

 

主菓子は花筏、今年は例年より桜の満開が遅れ、ちょうど花が散って、川面に花びらが流れる時期となりました。

 

 

後座は掛花で、花は篭口クレマティスです。

濃茶はご希望で各服点てになりました。コロナの間、片口で人数分練って小茶椀に分けていたので、各服で練るのは初めてでした。お湯の量の加減がうまくいかず、中茶になりがちでした。お濃茶が初めての方には飲みやすかったかもしれません。 

 

 

干菓子は青楓と鮎、そしてお客様お持たせの京都老松の夏柑子。薄器は槐の平棗で蓋裏に雪月花の蒔絵。茶杓は小森松の空蝉でした。

 

2024年2月25日

 

数日前の初夏のような日から、一転して冷たい雨となりました。

 

もう2月も終わりに近づいているので、お雛様を飾って、春を待つ気持ちの席となりました。

 

掛物は「春風門に入り千花嘴を生ず」 花々のつぼみが膨らんで、鳥のくちばしのようだ、というもの。早春にかけたい一幅です。

花は桃、鳥の香合と、春らしい気分を出してみました。

 

 

向付はタイの昆布締め、汁はホウレンソウの白菜巻です。

煮物椀はハマグリ真薯、コゴミと大シメジを添えました。

 

 

焼き物は鶏の味噌漬け、強肴は煮アナゴと蕾菜、もう一品はウドの酢味噌和えです。

蕾菜はからし菜の脇芽だそうで、春らしい緑色がきれいです。脇芽の出る短い期間だけの収穫なので、春を告げる野菜とも言われるそうです。

 

 

八寸はミョウガの味噌田楽とトビウオのジャーキー。千鳥をやってみたいとのことでしたので、テキストやスマホを片手にやってみました。何回やっても訳が分からなくなります。

写真では分かりにくいですが、両細の箸は先日青竹を削ったものを送っていただいたものです。ラップに巻いて冷凍庫で保存しています。今や青竹は貴重ですね。

 

 

主菓子は富久屋の「春の野」菓子器は須田精華の乾山写し。土筆、スミレ、早蕨など早春を告げるものたちが描かれた扇面形です。

水指は四君子(蘭、菊、梅、竹)でしたので、梅を正面にしました。濃茶器は信楽の中海、今井桂秋、仕服は花うさぎ金襴のようです。

 

 

干菓子は鶴屋吉信の右近左近、立びなの焼き印のある麩菓子です。その他秋田のもろこしあん、お客様がお土産にお持ちいただいたニューヨークのリンゴチップです。アメリカにもFujiは進出しているのですね。

 

2024年1月14日

 

新年早々、痛ましい災害や事故が続いて、新年を祝うような気持ちにもなりにくい2024年のスタートです。

 

掛物は「双六の下の用ある手紙」河東碧梧桐の自由律の俳句です。双六といってお正月をイメージする方も少なくなっているように思いますが、扇面でもあるので、新年に使いました。

 

花は春を感じるミモザと膨らんだネコヤナギの芽です。

 

香合は山崎如悦作の菊華。

 

向付は寒い時期でもあるので、温野菜と蒸し牡蠣、汁は粟麩です。

 

お客様が手作りお味噌をお持ちくださったので、さっそく汁に使いました。色は濃いですが、それほどしょっぱくはなく美味しくいただきました。

 

煮物椀はエビ真薯、羽子板の蒲鉾でお正月らしさを感じていただきたいと思いました。

 

 

焼き物はカジキの粕漬け、強肴はヤツガシラ、卵焼き、キヌサヤです。もう1品、ゴボウの胡麻酢和えをお出ししました。

 

お酒はやはりお客様からいただいたもので、諏訪の舞姫酒造の翠露。

 

たくさんありましたので、今回はお酒は変えずに、3献ともこの翠露といたしました。

 

箸洗いは松の実、八寸はチーズの粕漬けとゴマイワシ、漬物は白菜、キュウリ、ベッタラ漬けでした。

 

 

主菓子はいづみやの「此花」紅白が美しかったのですが、十分解凍できなかったのでちょっと温めたらべたべたになってしまい、申し訳なかったです。

 

 

濃茶器は浅井竜介の織部、茶碗は赤楽、「木兎」の印があります。

 

茶杓は富山のシモオデザインのもの。

シモオデザインはモダンな立礼卓なども作っているところです。

 

 https://www.shimoo-design.com/

 

この茶杓は東日本大震災の時、多くの作家やギャラリーが活動できなくなりました。そこで、有志がお茶会を開いてオークションで作品を販売しました。その時に落札したものです。奥能登の災害に思いをはせ、使いました。これまで意識したことはありませんでしたが、シモオデザインも富山でした。

 

 

仕服は嘉本ゆりこさん。糸を染めて織って縫って作られます。綿がたっぷり入り手触りが柔らかい。内側の底の部分に別の布が使ってあります。愛情をこめて作られた仕服という感じがします。久しぶりにフェースブックを拝見したら、いつの間にか3人の子の母に。

この仕服が我が家にやって来たのは、最初のお子さんが生まれた頃でした。月日のたつのは早い。

 

 

干菓子は冬にはおなじみの「大吟醸ぽっ」と和三盆のタイ。棗は前志芸男の沈金唐松。この作家も輪島の方ですね。この度の地震で能登地方の作家さんたちはどうされているのでしょうか。心痛みます。