2021年12月19日
今年も残り少なくなりましたので、「千秋楽」の文字と柚子の絵の軸を掛けました。年末ならではです。
夜咄は前茶があったのをすっかり忘れ、お客様に甘えて、すぐに懐石をお出しすることになりました。
寒い時なので、汲出しに甘酒を使おうかと思いましたが、向付に酒粕が入っているので、汲出しは白湯にしょうが汁を少し垂らしました。
その向付はクリームチーズと酒粕のムース梅肉添え。レシピではワサビを添えるとなっていましたが、酸味の方が合うように思いました。お客様からはワインにも合いそうとのこと。汁は粟麩。
煮物椀は寄せ鍋風にタラ、エビ、ハマグリ、豆腐、セリなど、タイのアラとかつおだしを合わせました。
焼物は阿波尾鶏のつけ焼き、強肴はサトイモと頂き物のホタテの昆布巻きです。
不白流の方がいらしたので、不白流の千鳥の盃のやり方を教えていただきました。
最初、1人ずつ一献差し上げ、正客前に戻って正客に一献。正客が「盃事をしたいので別盃を」と言い、「持ち合わせがありませんので」と正客の盃を乞います。次客が亭主に注ぎ、正客は八寸を懐紙にとって亭主に渡します。これで納盃となります。盃台は正客が預かり、連客の盃を盃台に重ねます。
亭主はその間、八寸と銚子を持って水屋へ入ります。
不白流は千鳥をしないと聞いていたので、そのやり方が具体的に分かって良かったです。
途中たびたび 短檠の灯りが消えそうになったり消えてしまったりし、そのたびにお客様が助けてくださいました。水屋から戻ってみると皆さんが灯りの周りに寄り集まっていたりして、感謝です。
燈心が油に浸らず浮き上がってしまうので抑えた方が良いということで、小さなお皿で押さえました。
でも雀瓦の扱いの本やネットの写真には、燈心を抑えるようなものは出ていないように思います。どうしたらよいのか、まだまだ試行錯誤です。
主菓子は「姫椿」
途中で炭が落ちてしまったので炭点前はできませんでした。
後座の花はクリスマスも近いことから小さなポンセチアの鉢です。でも蝋燭の灯だけだと部屋の下の方は暗くなってしまうので、掛け花の方が良かったかもしれないと思いました。
干菓子はクリスマスのアイテムの和三盆、お客様お持たせの有平糖、柚子餅でした。
相変わらず様々な不手際の多い会でしたが、蝋燭の幻想的な雰囲気とお客様の思いやりで、何とか無事に終わりました。
1年間お世話になりました。お客様あってのうさぎの会だと毎回感謝しています。
良き新年になりますように。来年もどうぞよろしくお願いします。
2021年11月27日
うさぎの会にちなんで、うさぎの絵の懐紙を持ってきてくださったお客様がいらっしゃいました。
お客様同士はすでにお茶以外の世界での繋がりのある方々で、ビジネスのお話も盛り上がったようです。
掛物は前回と同じ、佐藤春夫の「柿もみじ」の詩の色紙です。
向付はシマアジ、あるだけ盛り付けてしまって山盛りに。家庭料理の延長のうさぎの会です。汁はサトイモです。
煮物椀は前回と同じカニ真薯、焼物は金目鯛の塩焼きです。金目の赤い皮がきれいでした。
強肴は蓬麩、サツマイモの甘煮、焼き茄子の煮びたしです。
箸洗いと八寸は前回と同じで、箸洗いは松の実、八寸は岩豆腐の燻製とあんぽ柿の生ハム巻きでした。
主菓子は木枯らし(森八)、干菓子は麩の焼きと中にナッツの入った抹茶のお菓子です。転がってしまうので、リキュールの小さなグラスに1人分ずつ入れました。
中澤恒夫の風炉は、これまで炭が消えてしまってお客様にご迷惑をおかけしましたが、3度目にしてやっと炭点前ができました。
後座は前回と同じで賭け花はサンダーソニア、濃茶器は前回と同じ肩衝、茶杓は大徳寺黄梅院の太玄和尚の「一期一会」です。
薄器は魚野自醒の黒捻菊唐草吹雪でした。
薄茶の最後にはお客様の小堀遠州流の方に点てていただきました。
千家流とは違う茶筅の持ち方で、力強い茶筅の振り方でした。四指を茶筅の柄にそえる形で、腕全体で茶筅を振ります。きれいに泡立って美味しくいただきました。
お正客が上手に席を盛り立てて下さって、たいへんやりやすいお席でした。
2021年11月23日
11月も残り少なくなり、晩秋の趣の色紙を掛けました。
佐藤春夫の「佐久の草笛」の中の詩です。
柿もみぢ
もみじ葉の一夜の霜に
なごりなく 地に散り敷けば
梢には実のみ残りて
秋そらは鋼(はがね)に似たり
晩秋の晴れ渡った空、散ってしまった色づいた柿の葉、真っ青な空にくっきりと柿の実。
その光景が目に浮かびます。
久しぶりの方、初めての方々の楽しい会になりました。
向付はイカ、汁は京芋です。
煮物椀はカニ真薯、焼物はブリの幽庵焼き、強肴は鶏団子、根芋、ブロッコリーと紅葉麩です。
箸洗いは松の実、八寸は岩豆腐の燻製とあんぽ柿の生ハム巻きでした。
主菓子は織部まんじゅう。
後座の花はサンダーソニア、浄益の掛け花にとてもよく合いました。洋花ですがうつむき加減の花ですので、掛け花にぴったりでした。
茶入れは友人にいただいたもので箱もなく何も分からないのですが、軽いので高取かもしれませんね、とお客様からもお話がありました。茶杓は大徳寺黄梅院の太玄和尚の「一期一会」です。
干菓子は麩の焼きと中にナッツの入った抹茶のお菓子です。
お茶はまったく初めてという方もおひとりでいらっしゃいました。最初はとても緊張されていましたが、次第に緊張もほぐれ、最後はとても楽しかったと言っていただきました。
ご連客のおかげでもあります。
2021年10月17日
10月は名残の月ですので、残花風に。
残花といえば聞こえはいいですが、どうも適当にさしただけのような(ーー;)
リンドウ、吾亦紅、ツルウメモドキ、ムラサキシキブ、クジャクソウなど。
掛物は「山静かなること太古の如し」
前大徳橋本紹尚筆。
名残ですので中置としました。
向付はサーモンのカルパッチョ、汁はカブ、煮物椀は吹き寄せ風の沢煮椀にしました。ニンジンの紅葉やサツマイモのイチョウを型抜きして、秋の雰囲気に。
焼物は目鯛の塩焼きですが、焼き色をきれいにつけることができませんでした。
強肴は根菜類の炊き合わせと柿なますです。
席中では先生を変えた人や流儀を変えた人などで、先生との出会いについていろいろ語られたようです。先生との出会いは結婚と同じという発言も。
そうかもしれません。私の場合も先生との相性が続けられた大きな要素だと思います。
香合は栗、山崎如悦作、香は白檀です。
主菓子も栗きんとん。栗の季節に欠かせないお菓子です。
中置ですので高取の細水指で、茶入れは桶谷常一の京焼です。
濃茶はいつも通り片口で練って小茶碗に分けます。その後ご希望の方には小茶碗に残ったお濃茶にお湯を注いで薄茶を点てました。ただ小さい茶碗にふつうの茶筅では茶筅を振る余地があまりなく、きれいに点てることができません。今度は野点用の茶筅を用意しておこうかと思いました。
干菓子は福井の羽二重餅とイチョウ。羽二重餅恐竜博物館に行った方のお土産で、きな粉のお餅でした。
棗は根来風の独楽棗。岩淵祐二さんの作です。ちょうど岩淵さんの展覧会が西荻窪であり、ご本人も京都からいらしているということで、お茶会後希望者で「塗・岩淵祐二 陶・檜垣良多展」に伺ってきました。
漆芸家と陶芸家のコラボ作品もあり、大盛況の展覧会でした。
2021年9月26日
軸は「露堂々」
禅語の「明歴々露堂々」の後半部分。すべての物はすでに目の前にある、という意味でしょうが、力強い書です。ただ誰の書かよく分かりません。
風炉先は「鬼の道中」鬼の旅姿がかわいい。無為虚几という方の作ですが、画家というより趣味人だったのではと想像します。展覧会用の仕立てのようで、屏風としては非常に壊れやすいのを入手してから気づきました。取扱い注意です。
花はホトトギスとフランネルフラワー、照葉です。
向付はブリ、汁は焼きナスです。
煮物椀は合鴨と鶏肉のひき肉団子です。出張懐石をされている方が粉末の魚のすり身で真薯を作ると簡単、と言っていたので早速取り寄せてみました。簡単ですがかまぼこみたいで(鈴廣製ですので)、緩めていくと粘りがなくてバラバラに。プロが推奨していたので、やり方次第なのだと思いますが、間に合わなかったので手に入りやすいひき肉となりました。事前準備を十分にしないのがバレバレでした。
焼物はアナゴの白焼き、進鉢はサトイモと出し巻き卵、紅葉麩です。
箸洗いはミョウガ、八寸はむかごとエビの浜焼きです。
香合は鳴子、稲穂に雀が舞い、螺鈿の鳴子が光ります。
茶入れは平安喜山、茶杓は竹芸家の松本破風の「止水」です。
濃茶は片口で練って小茶碗に分けました。
お茶はなさっていないけれど良く来て下さる方が正客をして下さいました。何回もいらしているので、流れは良く分かっていらしてやりやすかったです。
干菓子はクルミ餅と和三盆の菊と山路です。
棗は秋の夜棗。写真では分かりづらいですが、黒漆の下に秋草が描かれ、錫の玉が夜露のようにあしらわれています。この時期ならではのものですね。
2021年8月19日
19日は山仲間を中心とした皆さんが来てくださいました。ほとんどがお茶はなさらない方でしたが、積極的に茶筅を振ってみたりと大変和やかで楽しい会となりました。
花はリンドウと吾亦紅、小ぶりのスターチスで、そろそろ秋の気配を感じるようになりました。
向付は胡麻豆腐風、汁は焼きナス、煮物椀は蓮根餅です。
中酒は発泡の日本酒をグラスでお出ししました。暑いときならではですが、前酒にこの酒器(おそらくリキュール用)は使いにくいので、中酒としました。
焼物はホタテです。
進鉢は鶏団子と野菜の炊き合わせ、アナゴとキュウリの酢の物でした。
主菓子は秋桜、干菓子は朝顔、ブドウの琥珀糖などです。
お茶をなさらない方も、こんな機会めったにないからと進んでお茶を点ててくださいました。お正客はお茶を習っている方だったのでアドバイスしてくださるのでお任せ。左利きの方もいらして、やはり左で茶筅を振った方が良く泡がたちました。右利きが左手で点てるのを想像してみれば当たり前ですね。
「なぜこうするの」とか、お茶独特の言い回しに対して「なんて言ったの」など、率直な疑問もいろいろ出るなど、笑いも絶えない席となりました。
うさぎの会と命名してすでに5年となりましたが、当初はいつもこんな感じだったなあ、となつかしく思い出しました。
毎回扇子と懐紙をいっぱい出して、お茶をなさらないお客様に使っていただいていました。コロナ以前は5~6人のことが多かったです。
おかげさまで楽しんでいただけたようで、リピートする方、お友達を誘ってくださる方などで、今までつながってきました。ありがたいことです。
2021年8月15日
異例の長雨が続き足元の悪いなか、夕ざりの会にお越しいただきました。
当初の予定では16時ではまだ陽ざしが強いと思っていましたが、雨もよいの天気ではすでに少し灯りが欲しいくらいの明るさとなってしまいました。
電気を点けて、その後電気を消してろうそくにするのもおかしいので、ちょっと薄暗いなかで始めることになりました。
軸は「茶は知己に逢いて喫す」の色紙、花はベルテッセンの変化型だと思います。花びらの切れ込みが深いものでした。
お客様から「色紙掛けの切地が鳥ですね」、と言われて初めて気づきました。波に千鳥でしょうか。地色だけ気にして選んだのでしたが、何年もたってから人に言われて柄に気づくとはなんとぼんやりしていることか((+_+))
最初は手燭を一つだけだしてみました。
向付は鯒のコブ締め、汁は冬瓜です。煮物椀は卵豆腐の中に枝豆のペーストを少しいれて夏の雰囲気にしてみました。
焼物は小さな常節を軽くあぶって貝殻に入れて。
進鉢は夏野菜の炊き合わせと焼きタコときゅうりの酢の物です。
途中から暗くなってきたので、さらに手燭を持ち出し、皆で芯切りをしたりして過ごしました。
何故か短檠が途中で消えてしまうということも度々。なかなか灯りの扱いは難しいものです。
それでもろうそくなどの灯りによって、非日常な幻想的な雰囲気を楽しむことができました。
主菓子は桔梗、濃茶は片口で練って小茶碗に分ける方式です。
夜咄風なので、これは続き薄になるのかもしれない、ということで続き薄を試みました。お客様に表千家の方がいらしたので、裏千家などとはやり方が違うのかもしれず、お互い??
でも、続き薄は濃茶の茶碗を使うので、コロナ対応にはふさわしくないのでは、ということでうやむやに。
最初の薄茶を正客が取り込み、それを次客にすすめ、その間に濃茶器と仕服の拝見を乞うというやり方は、亭主と客がもともと了解していないと成り立ちません。
拝見品を引くやり方も、茶道学会は濃茶器と仕服、薄器と茶杓と2回に分けますが、裏千家では4つを1回で引きます。流派や経験を問わないうさぎの会では、そのような複雑な対応をする必要はないと思いました。
おそらくこれからも薄茶は別に点てる方法でやると思います。もちろん体験してみたい、という場合はその限りではありませんが。
しかしろうそくの燃え切った後の手燭はなぜこんなに違うのか。
左のように美しくあって欲しいものです。
最後まで燃やそうというのが間違っているのでしょうか。
2021年7月31日
中澤恒夫さんの新しい風炉と釜を求めましたので初使い。それがとんだハプニングでした。
ありあわせの小ぶりの五徳を使いましたが、炭が入らず、なおかつ小さいので灰が十分に入らず釜の底が炭についてしまいました。そのため炭が消えかかり、何度もお釜を温めなおすことに。
お客様にもご迷惑をおかけしました。
それでもいろいろアドバイスもいただき、感謝です。
軸は大綱和尚の「引く人も 引かるる人もうたかたの 浮世なりけり 淀の川舟」
川舟に多少の涼を感じていただけたらと思いました。花はリンドウ。
風炉の五徳が小さくて炭点前はできないと思いましたので、香合を飾りました。焼物ですが波うさぎなので、これも水にちなんで。
向付はうさぎの会の夏の定番、簡単胡麻豆腐風、汁は焼きナスです。
煮物椀はアジのつみれ。良いアジがあったので作ってみました。
お酒好きの方が多かったので、席中ではお酒の話題も。地域限定のお酒の話などみな様詳しい。
焼物はカジキ、進め鉢は鶏の治部煮、カボチャ、オクラ、強肴はキュウリもみにささ身の燻製です。
箸洗いは塩コブ、八寸は枝豆、燻製チーズの生ハム巻きでした。
主菓子は葛桜、濃茶器は浅井竜介さんの織部、片口で練って小茶碗に分ける形です。
いつも濃茶席は同じ茶碗になってしまいます。
薄器は岩淵祐二さんの研出し中次、お客様から風炉の雰囲気に良く合っていると言っていただきました。薄茶の主茶碗は一貫人の平茶碗ですが、かわいいとお正客に褒めていただきました。
たびたび席を中断してお釜を温めなおしたりと不手際ばかりでしたが、お付き合いいただきありがとうございました。