2021年6月20日

 

前日の雨が気がかりでしたが、当日は雨もあがり,

少し蒸し暑い梅雨時のお天気となりました。

 

お客様が「和の文様辞典ーきもの模様の歴史」という文庫版の本を持ってきてくださいました。小型ながらカラーの図版も多く、手元にあると役立ちます。

着物だけではなく、仕服や袱紗の文様を知るためにも便利だと思います。

「模様の歴史」というサブタイトルですが、歴史より辞典です。 

 

 

軸は「時々勤めて払拭す」常に心の塵をはらいましょう、という意味でしょうか。花は紅花です。

向付はきびなごの酢味噌和え、汁はジュンサイです。

 

 

煮物椀は季節のアユと新ゴボウ、アユの頭や骨で出しをとったちょっとほろ苦いお椀です。焼物は阿波尾鶏の山椒焼き、進鉢はカボチャ、四方竹、オクラです。

 

 

八寸はサバの燻製と長芋です。

先日屋久島に行った時に求めたサバで、そこから屋久島の話題がいろいろ出ました。

ウミガメの産卵を見に行った方にその様子を話していただきました。ウミガメは産卵が始まるまでは神経質で、海から上がっても産卵せずにそのまま戻ってしまうこともあるそうです。そこで産卵が始まるまで見に行った人達は離れていて、産卵が始まるととわっと集まってくるのだとか。それもかわいそうな気がします。静かに生みたいだろうし。

 

雨で有名な屋久島でも雨がふらず雨乞いをしたこともあるのだとか。もののけ姫の舞台のイメージを作ったことで有名な白谷雲水峡の苔が、日照り続きで干からびていたとの話も珍しかったです。

 

主菓子はネジバナです。

 

 

水指は青磁、棗は黒の中棗、茶碗は一貫人の平茶碗です。替えには透けるほど薄い茶碗など、少ない手持ちのなかで夏を感じていただけたでしょうか。

 

2021年5月30日

 

おかげさまで5月はたくさんのお申込みをいただいたので、2回行いました。

 

掛物は16日と同じ「萬里清風来る」の色紙を掛けました。

 

坪田紅邨という女性の書家の方の書です。

 

花は芍薬ですが、どんどん開いてしまって、茶席には大きすぎて豪華になってしまいました。きれいに開かない場合もあるので、これはこれで良しとしましょう。

 

 

友人がアスパラをたくさん送ってくれたので、豆腐とミキサーにかけてゼラチンで固めてアスパラ豆腐に。

煮物椀はハモ。焼物はとりひき肉の松風風、強肴は蓬麩、ニンジン、野フキを油揚げで巻いたものの炊き合わせです。

 

 

今回は最初に炭を熾す段階から火のつきが悪く、炭を足しても火が移っていきません。いつもと同じ炭なのに。やむを得ず、途中で炭を熾しなおして入れ替えることになってしまいました。席中騒がしくて申し訳ありませんでした。

新しい炭は元気よく火が回り、いつも以上にきれいに燃えました。

さびやすいのが悩みの種だった新しい釜も、一度お湯を沸騰させて入れ替えるとおさまることが分かりました。ただ、炭では時間がかかってしまうので、陰でIHヒーターで沸かしました。

 

 

主菓子は落とし文、茶入れは桶谷定一の京焼です。

お客様はIT関係の方々で、ビジネススクールで知り合ったのだとか。現役のビジネスパーソンばかりでしたので、コロナの社会への影響などの話題も豊富でした。

そろそろ美術館が再開されそうで、すでに東博の鳥獣戯画展をご覧になった方に様子を教えていただきました。

 

2021年5月16日

 

5月になって初風炉にふさわしい爽やかな日が続きました。

「萬里清風来る」という気持ちになってこの色紙を選びましたが、当日はどんよりしたお天気になってしまいました。書は坪田紅邨という書家のものです。

 

それでも席中はお客様の楽しいお話で、晴れ晴れとした雰囲気となりました。

 

今回の懐石は失敗続きで申し訳ないことでした。煮物椀の真薯を作ってみたら元の真薯が良くなかったようで粘りがでず滑らかにならず、そこで前日の夜に出来合いのものを買いに走りました。最近卵豆腐は作っていたので隣の胡麻豆腐にしたら、温めたら溶け出しそうになり・・・。おまけにご飯の水加減を間違えて硬いご飯になってしまいました。申し訳ありませんでした。

 

 

向付はホタルイカ、煮物椀は胡麻豆腐、焼物はとりひき肉の松風風(青のりと胡麻の2色で)、強肴はタケノコ、わかめ、コゴミ、もう1品はイカのたらこ和えとしました。最初にお出しした柚子の冷酒が好評でした。

 

 

八寸はそら豆とチーズの中に秋田のいぶりがっこが入っているもの。いぶりがっことチーズは意外に相性が良いのでした。箸洗いは粟田焼き、漬物の器は御菩薩(みぞろ)焼きです。

 

 

いつも同じ風炉と釜ですので、久しぶりに現代作家の釜を掛けました。モダンなデザインの金工作家坂井直樹のものです。

香合は村瀬治平の菊の葉、お香は白檀です。主菓子は牡丹、季節ですね。

 

 

後座は篭口(ろうぐち)クレマチスを掛け花にしました。棚は茶道学会の仙翁棚。濃茶は片口で4人分練って、1人ずつお茶碗に分けて召し上がっていただきました。

 

 

今回のお客様は他所のお茶会やお茶事などで顔を合わせたことがある方々でした。うさぎの会で会われるのは初めてでしたが、様々な話題で一段と盛り上がっていたようです。

うさぎの会をきっかけに、新たなつながりが広っていくといいな、と思いました。

 

2021年4月11日

 

4月にしては少し汗ばむくらいの日になりました。

 

花は小さな菊とコデマリ。春らしい明るい感じで選びました。

軸は大網和尚の短冊です。

 

「言の葉の 種やそえけん吹く風の

  声面白き わかの浦松」

 

風の声が和歌を詠もうという時のインスピレーションをもたらすといった意味でしょうか。

 

向付はタイ、汁はすだれ麩です。煮物椀は蓮根餅、焼物はスズキの塩焼き、進め鉢はタケノコ、高野豆腐、わかめ、インゲン、もう1品はウドとわかめの辛子酢味噌和えです。

 

 

主菓子は「春の水」 桜の花びらが川面に散って流れていく様子を表しているようです。

 

 

中立の時、席入りの合図の銅鑼をお客様が物まねしてくださいました。ちょっとお寺の鐘のようで一瞬除夜の鐘を思い起こしました。

 

席中が少し暑くなってきたので、障子を細く開けておいたら、そこから射しこむ日の光が茶入れに反射して、畳に美しい模様を描きました。あっという間に陽がうつろい、畳の模様もどんどん変化していくのが面白かったです。茶入れの表面はツルツルしていると思うのですが、微妙な凹凸があるのでしょうか。思いがけないことでした。

 

 

お流儀を変えようとあちこち探している方がいて、流儀の違いや先生との相性などのお話となりました。

最初のお茶の先生との出会いがそのまま続いている人が多いと思いますが、新しく自分で探そうとすると選択肢が多いし自分の望む条件もあって、かえって難しいように感じました。

 

良い出会いがあることを願っています。

 

2021年3月24日

 

今年は全国的に桜の開花が早く、東京ではこの日すでに満開になっていました。

 

お天気も穏やかに晴れて、春らしい日となりました。

 

 

 

いつもは諸飾りにすることが多いのですが、今回は掛け花入れを使いたかったこともあり軸のみ。初めて来て下さった方もいらしたので、「茶は知己に逢いて喫す」の色紙にしました。

 

 

迎えつけの後、「それでは粗飯を差し上げます」と言ったとたん、ご飯を炊いていなかったことに気づくという大失敗。お客様にはかなりお待たせすることとなってしまいました。

 

初めての方もいらしたのに、申し訳ないことでした。ご連客がその間もいろいろお話をして下さって助かりました。

 

向付はマグロの山掛け。汁は桜麩を厚く切って、お椀に立てました。懐石でトロロはあまり出さないとは思いましたが、良い自然薯が手に入りましたので山掛けにしました。

 

 

煮物椀は春らしくグリーンピースを入れた卵豆腐にしようと思いました。今回はお2人だったのでいつもより分量を減らしたら、あっという間に固まってしまって、あわててお豆を押し込むことに。そのため少し卵豆腐がひび割れてしまいました。全体にいきわたらせる予定が、上にいくつかのせることしかできませんでした。なかなか予定通りにはいきません。

 

焼物はタイの塩焼き、進め鉢はたらこの煮物、フキ、ニンジンです。もう1品はあこや貝の貝柱の酢味噌和えです。あこや貝の貝柱は珍しく、時期も今のものとのこと、ホタテより歯ごたえのある小ぶりの貝柱です。

 

 

お客様が少ないとこれまで出番のなかったものを使うこともできました。数の揃わない小吸い物椀や小ぶりの八寸などです。八寸は菜の花の辛子和えとウドの生ハム巻きです。

 

 

ご飯を炊いていたのでその分遅くなり、炭がすっかりおちてしまいました。そこまで気を配る必要があったのですが、至りませんでした。中立で陰で沸かしましたので、炭点前はありません。

 

花はクリスマスローズ、和名は寒芍薬だそうです。「寒」とはいうものの、もうすっかり暖かくなってしまいました。花がうつむき加減なので、掛け花入れにぴったりです。この花入れは掛け花入れとしてしか使えないので、ちょうどよかったです。

 

主菓子は桜、濃茶は片口で練って各自のお茶碗に分ける方法でした。

先日あるお茶事に伺ったら千鳥はご亭主が自分の盃を持ち出していましたが、濃茶は飲みまわしだったので、飲みまわしもいいかなと思いました。お客様次第ですが。

 

干菓子は盛岡の「大吟醸ぽ」と和三盆の桜と蝶でした。棗は槐(えんじゅ)の生地の小型平棗、お客様は植物にご興味がある方でしたので、槐についてさっそく調べて下さいました。おかげで夏にクリーム色の花が咲くことを教えていただきました。

 

2021年2月23日

 

2月とは思えない暖かい日が続き、この日も日向は暑いくらいになりました。

 

のどかな春を迎えた心地がしました。

 

この時期にお気に入りの「春風門に入りて千花嘴(し・くちばし)を生ず」

 

春風が吹き入って、花芽が鳥のくちばしのように膨らんできました。

表装も春らしい明るい感じです。

 

風炉先屏風も丈の低いもので、憎めない鬼たちの旅姿です。春風に誘われて旅に出たいようです。花も早春を感じるネコヤナギとゼンマイ、これに椿でもあれば良いのですが、残念ながらカーネーションで。

ひな祭りも近いので、向付は貝、煮物椀は白魚豆腐とタラの芽、焼物は鴨ロースト、炊き合わせは湯葉巻きとカブです。

 

 

主菓子は道明寺の桜餅。菓子器は乾山写しの春の野、早春の土筆や菫などの描かれた扇形でつまみも扇です。昨年の春使おうと楽しみにしていましたが、コロナで会も開けず、今回が初使いとなりました。

 

 

水指は砥部焼の小ぶりなもの、茶入れは京焼、薄器は岩淵祐二さんの研ぎ出し中次。

干菓子はお雛様づくしでした。

 

全体に軽やかな感じで、お客様からもそのように言っていただきうれしかったです。

 

初めての方が、「うさぎの会だから」とうさぎの帯留めで来てくださいました。

たくさんお友達を連れて来てくださる方もいて、いつもうさぎの会はお客様に恵まれていると感謝しています。

 

2021年1月16日

 

緊急事態宣言が出されたことによって辞退された方もいらっしゃいましたが、いらして下さった方も多く、2回になりました。

 

お稽古も中止されているところも少なくないので、当然のことと思います。

取り合わせなどは1回目とほとんど同じとなりました。

 

ただ、生ものは買い物に行ってみないとわからず、今回は金目となりました。ピンク色がきれいでした。

 

 

お客様が少ないと、小さいお皿も使えるので、久しぶりに備前の半月に欠いたようなお皿を使いました。ずいぶん前に備前に行った時に求めたものですが、なかなか出番がなかったものです。薄茶のお菓子は柚子琥珀、茄子の砂糖漬け、霜柱です。

 

2021年1月11日

 

1月のご案内の後、2度目の緊急事態宣言となり、辞退される方もいらっしゃるなか、それでも来て下さった方と今年初めてのうさぎの会を行いました。

 

軸は「一年三百六十五日」中回しは暦というもの。これからの365日、つつがなく過ごしたいものです。

 

風炉先は百人一首の色紙を貼ったものですが、最近では百人一首もなじみが薄くなっているようです。

歌を知っていると崩し字も読みやすいですね。

 

 

向付はブリ、汁椀はサトイモとニンジンで紅白に。

煮物椀は小さな丸餅と飾り麩で松竹梅などでしたが、生麩は解凍してみたらあまりに色がどぎつくてびっくり。すみませんでした。

 

早くもタラの芽がでていましたので、進鉢は一足はやく早春の趣になりました。

 

箸洗いも松竹梅の模様、八寸のあんぽ柿の生ハム巻きは好評でした。

 

 

炭点前は久しぶりに上手に火がおこり、私としては満足でした。

中立でお湯を沸かしたり、ひどい時は炭をおこし直したりしたこともあったので、珍しくうまくいきました。春から縁起がいい(^^)

香合は村瀬治平衛の菊の葉、主菓子は咲き分けでした。

 

 

寒くなってきたので、温めておいた各服用のお茶碗を発泡スチロールの箱の中に入れて、風炉先の外側に準備しての濃茶でした。

お客様に小堀遠州流の方がいらして、濃茶の時の袱紗の扱いを教えていただきました。

写真のような形で出し、いただく時は折れ曲がっているところを開いて、三角形の上に茶碗を乗せていただくそうです。

 

 

薄茶のお菓子の左側は小茄子の砂糖漬け。山形のお菓子です。初夢にちなんでいるのでしょうか。

最後にお客様が亭主に一服点てて下さいました。コロナでなかなかお稽古ができないとおっしゃっていたので、最後までやっていただきました。