2016年後半の日々
2016年12月11日
今年最後のうさぎの会は「千秋楽」と柚子の絵の軸を掛けました。
秋の字は偏と旁が逆になっています。これを異体字といい、1000種類くらいあるそうです。お客様が調べて、後から教えて下さいました。
今回はお客様は3人でしたので、ゆったりとしたお席になりました。女子会でした。
ちょうど前日に友人が鮭の白子の燻製、ニシンのホットスモークなど珍しい物を送ってくれたので、さっそく強肴に。
主菓子は冬バラ、干菓子はクリスマスバージョン。懐紙の上に絵のようにおいて楽しんだ方も。
うさぎの会は今年もお客様に恵まれ、ほぼ毎月開くことができました。来ていただく方があってこそですので感謝しています。
うさぎの会に来てくださっている方の中からお茶を習ってみたいという方が現れたのも嬉しいことでした。
来年も楽しい会が続くことを願っています。
2016年11月12日
先月に引き続きお客様が6人でした。前回は点心だったので今回は別な形にしようと思っていたのに、直前になってお椀が足りないことを思い出し、急遽また点心にしました。
無計画であります、すみません。
いつもいらしてくださる方が息子さんを連れてきてくださいました。高校時代、能を見てそのおもしろさにはまったけど、歌舞伎は寝てしまった、という方でした。歌舞伎好きの方をはじめ、みなさん、自分たちはその逆だと、能や歌舞伎を見る話で盛り上がりました。
茶道の流儀による点前の違いなども話題になりました。
お茶をなさらない方にも、お茶をいただく時はお茶碗を回す、というのは良く知られているのは何故でしょうか。
濃茶は一般的には茶碗の同じ場所から飲むことになっています。「いろいろな場所から飲むと、飲んだ跡がタコの足のようになるから1箇所で飲む」と教わったと、お客様が教えてくださいました。タコの足というのは初めて聞きました。
その一方で、すべて別のところから飲み、飲んだ濃茶の跡は菊の花のように、という流派もあるのです。
「タコの足」と「菊の花」では、同じことをあらわすのにも随分印象が違うとまた盛り上がりました。
薄茶のお菓子は冬の定番、仙台の「霜ばしら」、はかなく口の中で溶けていきます。見た目も本当に霜柱ですね。
左は秋田の生もろこし。東京ではなかなかお目にかからないのですが、たまたま渋谷駅の秋田フェアに出ていました。
中次の表面に顔が映っていると撮って下さいましたが、この写真では分からず残念。
いつも賑やかなうさぎの会で、ご自分のフェースブックに「騒ぎ過ぎた感が〜〜」とコメントを書かれた方も。
様々な話題が飛び交うのがうさぎの会です。私はなかなか席の中でお話をうかがうことができないのですが、切れ切れの皆さんのお話からもその様子が伺えます。
2016年10月16日
10月のうさぎの会は、名残りの風情も少し取り入れてみました。
軸は「時々勤めて払拭す」という禅語でしたが、年配のお客様からは、同じ言葉でも年齢によって受け止め方が変わってくる、といった貴重なお話も伺いました。
花は数種を取り合わせて残花の風情で、下にあるのは烏瓜です。
食事は点心としましたが、私の準備が悪くて時間がかかってしまったので、まず最初にお客様同士で薄茶を点てていただき、時間を過ごしていただきました。
初めてのお客様がいらしたのですが、席の外で待っていただくのは手持ち無沙汰なようでしたので、咄嗟にお願いしました。それが良かったようです。
お客様はお茶をなさらない方がほとんどですが、茶筅を振るのはどなたでもできますので、お客様同士点てあうなかで、全員の和やかな和が出来上がったようでした。お茶の意外な効用でした。
お椀は吹き寄せのように、いろいろなものを入れた沢煮椀としました。
私も席に入れていただき、お相伴。
お菓子は「初雁」月に向かって飛んでいる様子ですね。
香合は「栗」栗そのもののようです。お香は今回のお客さまが東南アジア出張のお土産に下さった香木です。ふざけて「蘭奢待2」と言っておりました。
お客様は6人でしたので、濃茶は重ね茶碗で2碗お出ししました。
薄茶のお菓子はハロウィンにちなんで。今は和菓子でもハロウィンのお菓子がいろいろでています。
薄器は菊唐草が浮き彫りになっているものですが、写真ではなかなか見づらいですね。
2016年9月14日
中秋の名月の前日でしたが、雲の垂れこめた日となりました。
軸は「金烏急いで玉兎速やかに」というもの。金烏が太陽を、玉兎が月を表し、日月の過ぎ去るのははやいといった意味です。
玉兎とあるのもお月見には良いかな、と思いました。
今回は顔なじみの3人になりました。うさぎの会は会話がご馳走ということで、一段と話に花が咲いたようです。
強肴はいかにもお月見といった感じに。主菓子は薄く焼いた皮に丸い穴を開け、中の黄身餡が満月のようにのぞいているというもの。食べるまで、そのような仕掛けになっているとは思いませんでした。
薄茶器は錫の夜露がひかる秋の夜棗、光の加減で秋草が浮かび上がります。この時期ならではのものでした。
8月11日のうさぎの会は、盛夏のカジュアル茶会となりました。
お茶会にスパークリングワインを使ってみたいという要望で、お客様にワインとさまざまな現代作家の陶器のグラスをお持ちいただきました。
以前フランスで求めたという保冷剤入りのカバー付きで、時間がたっても冷たくいただけます。なかなか楽しいおじさんたちが揃っています。
左奥の背の高いのは大井寛史作蛍手ワイングラス、手前の白いのは田中美佐作ワイングラス、本体は陶器で足がピンクのガラスなのですが、色がでていない(>_<)、真ん中は加藤隆彦の信楽、右は加藤清之の作品です。
すべてコレクターの方がお持ちくださいました。
お酒がワインなので、向付はカルパッチョ、焼物は鶏のソテー、強肴はサラダとしてみました(それらの写真を撮り忘れた(>_<)。
でもやはり最後はお漬物でさっぱり。
軸は「一二三四五六」数字の軸は時々ありますが、解説を読んでもいまひとつよくわかりません。
この語は表千家の家元が華甲(還暦)の茶事をしたとき、江戸時代の表千家の如心斎がこの語を書いたものを掛けたそうで、初めてうさぎの会に来て下さった方が表千家でしたので、それにちなんで掛けました。
花は洋花ですが、八重のテッセンとトラノオです。八重の花は茶花ではあまり使いませんが、これは花が小さくて使いやすいと思いました。
宗全籠の手が煤竹なのは、宗全の子の覚々斎の好みなのだそうです。お客様に教えていただきました。
そして薄茶はガラスの茶碗で冷水点て。少量のお湯で溶いて水を入れて点てると、比較的泡がたちます。水だけで、という所望もありやってみましたが、ほとんど泡がたちませんでした。それはそれなりに美味しいと召し上がってくださいました。
薄器は銀彩の陶器、以前から持っていたアルミの茶杓がよく似合って、最近のお気に入りの取合せです。
2016年7月9日
梅雨の最中の雨の会となりました。
蒸し暑い夏に「清流間断無し」の色紙で、清流から涼しさを感じていただければと思いました。
お客さまに染織家がいらしたので、花は紅花を選びました。
我が家の夏の定番、かんたん胡麻豆腐もどきの向付、冬瓜の汁、煮物椀はハモと夏を感じていただけたでしょうか。
濃茶の仕覆はお客さまの嘉本さんの作品で、席中は染織についてのさまざまなお話で盛り上がりました。
茶入は浅井竜介作の織部。
薄器は、前回包袱紗で濃茶器にした山本哲也の陶器の蓋物。銀彩の焼物にあわせて新井大の金属の茶杓としました。
この器の仕覆を嘉本さんにお願いして、いずれご披露の茶会をしたいものです。
染織作家の嘉本ゆり子さん。
ご自作のスカーフとバッグ。
スカーフの結び方を教えていただきました。
糸を染めて織って縫って・・。大変なお仕事、でも楽しそう。