2023年6月15日

 

6月のうさぎの会は久々にほとんどの方がお茶をなさらない方でした。うさぎの会として始まった頃は全員未経験という時もありましたので、懐かしい感じがしました。

 

ベテランがおひとりいらしたので、その方が皆さんに説明しながら上手に席をもりたてて下さり、相変わらずにぎやかなうさぎの会となりました。

 

 

今年もあっという間に半分過ぎてしまうので、日月の過ぎ去る速さを表す「金烏急いで玉兎速やかに」を掛けました。

風炉先は百人一首を書いた色紙です。四季の歌があるので、季節を問わず使っています。

 

向付はブリ、汁は京都土産のカラフルなお麩とミョウガです。

煮物椀は水無月のお菓子をイメージした真薯。焼き物はタラの塩焼きです。

 

 

進鉢は鶏の丸、タケノコ、アスパラガス、強肴はホウレンソウと炒り卵の酢の物です。

八寸は蒲鉾とミニトマトの蜜漬けで、今回は千鳥はやりませんでした。

 

 

お客様に茗荷谷近くにお住まいの方がいらしたので、茗荷谷の一幸庵のわらび餅をお願いしました。

予約しないとなかなか手に入らないのですが、出来立てをいただけるチャンスでしたので。

 

柔らかい蕨粉の皮にトロトロのこしあんが包まれていて、お茶席ではちょっと食べにくいかもしれません。銘々皿でお出ししました。

 

上生菓子と違って写真映えはしませんね。

 

 

 

今回は5人中4人のお客様が椅子を希望されたので、結局全員椅子にしました。お茶碗や拝見品を取り込んだりするのはやりにくかったかもしれません。

茶入れは桶谷定一の肩衝、茶杓は以前よくいらした方が削って下さったもので「玉兎」と銘をつけて下さったものです。

お茶碗は加藤宇助などで飲みまわしましたが、ご要望で1椀で練って差し上げた方もありました。

 

 

今回は後炭で、だいぶ燃えた胴炭を割ることができました。

干菓子は琥珀と和三盆、棗は蒲に蜻蛉でした。

 

お祖母さまが奥田正造の法母庵茶道を教えていたという方が、珍しい資料をお持ちくださいました。

 

「茶の湯の中で出す音」

 深山の斧の音    茶筅通しの音

 谷川のせせらぎの音 茶筅をすすぐ時

 筧の音       茶碗に水をくみ入れる音

 松風の音      釜に湯のたぎる音

 

自然の音を茶室に取り入れるということのようです。

松風の音は良く使いますが、それぞれの音のたとえもなるほど、と思えます。

貴重なものを拝見しました。

 

2023年5月28日

 

軸は「金烏急いで玉兎速やかに」

太陽の中にいるという金のカラス、月にいるというウサギ、すなわち日月を表し、月日は速く過ぎ去っていく、というような意味です。

 

日々を大切にしなければ、と思わされる言葉です。

 

献立はほぼ3日前と同じで、向付はタイの昆布締めです。器を変えました。金彩も入ってちょっと洋風な感じですが、お客様が裏の窯印に注目され、みんなであれこれ検索などをして、有田の龍峯窯のものと分かりました。リサイクルセンターで格安で買ったものなのですが。

 

煮物椀はハモ、焼き物は鮭の西京漬け、強肴はカブ、人参、ズッキーニ、エビの炊き合わせです。

 

今回のご亭主は不白流です。盃台の盃を上からとるか下からとるか、流儀によって異なりますが、お客様に石州流の方がいらして、各流派の違いを述べ合いました。石州流も上からとるそうです。

 

 

ご亭主の不白流では千鳥は行いません。亭主は末客までお酒を注いで正客前に戻り、正客からお酒をいただいて納盃となります。

これは石州流も同じだそうです。

 

千家表流の流れの不白流と武家茶道の石州流に、同じような所作があるのも興味深いです。千鳥に限らず、盃台や縁高の扱いも、同じようでした。

 

 

主菓子はツツジきんとんです。

裏千家では先に炭点前をしてその後に主菓子をだしますが、逆の流派もあります。主菓子は懐石のデザートの位置づけです。お菓子をいただいてから濃茶までの間には中立があり、時間がかなり開きます。お茶事では主菓子は懐石にセットされるもので、濃茶にセットされるものではないという考え方です。

 

風炉ではお菓子が出ても正客は預かっておいて、炭点前の後でいただきます。炉なら炭点前は懐石前ですから、お菓子が出たらすぐいただけますね。

 

炭斗の炭の組み方は、千家では真ん中に寄せるように組み上げますが、不白では平らに並べます。風炉中の胴炭も夏は向こう側に、冬は手前側に置くそうです。冬ってことは炉のことでしょうか、聞きそびれました。それは石州流も同じだそうです。

 

縁高の扱いも、千家は下からとりますが、石州流は上からとるそうです。武家流である石州流は正客はお殿様となるので、余計な動きはしない。拝見をとりに出ることもないそうです。点前には後見がつき、後見が取り次ぐ。以前藪ノ内流の方がいらしたことがあり、その時薄茶の点前にも後見がつくことを知りました。

 

 

コロナになって、濃茶の飲みまわしが敬遠されていましたが、うさぎの会ではお客様に伺って飲みまわしにしています。コロナになってから飲みまわしは初めて、という方、最近習い始めたので飲みまわしは分からない、という方、そして石州流では飲み口を変えていただくということでしたので、石州流にしてみましょうということになりました。

 

 

濃茶の後は続き薄で。干菓子は寒氷のなでしこと和三盆のSpae Wagashi。和三盆でロケットや宇宙服の人などを形作ったもの。和三盆で形を変えただけなのですが、皆さんも意表をつかれた思いでした。

濃茶器は平安喜山、茶杓は太玄和尚の「一期一会」、棗は蒲に蜻蛉の白棗です。

5月ですので、八つ橋(加藤舜陶)とカキツバタのお茶碗としました。

 

 

今回は4流派がお互いの手順の違いなどを教えあって、興味深かったです。いろいろな考え方を知ることができて、茶道の幅広さを垣間見ました。

2023年5月25日

 

アメリカからの2組のご夫婦がいらっしゃいました。その方々をつないでくださったのは、8年前にうさぎの会に来られた方です。

 

その方の心の中にうさぎの会の楽しかった思い出がずっと残っていて、遠方からの新たなお客様をお連れいただいたことは、本当にうれしく思いました。 

 

4人くらいを想定していた部屋に6人と大変窮屈だったことと思います。長い足を持て余しているような方もいらして、ちょっと心苦しかったです。

 

 

掛物は「茶は知己に逢いて喫す」

 

親しい人たちをお茶を楽しみましょうという言葉です。

 

外国の方だからと特別な配慮はなく、いつも通りで行い、何かあったらその場で臨機応変に対応することにしました。

 

向付はタイの昆布締め。さっそく生魚は食べられないとの声がありましたので、食べられないものは残してくださいとお伝えしましたが、結局向付はきれいになっていたので、どなたかが召し上がったのでしょうか。汁は粟麩。ここで麩は英語でなんと言うかという話に。英語のできる日本人の方もいらっしゃいましたが、食材や花などは訳が難しく、でも賢いスマホの力を借りながら、和気あいあいと席はすすみました。

 

煮物椀はハモ、焼き物は鮭のつけ焼き、強肴はカブ、人参、ズッキーニ、エビの炊き合わせです。

 

 

お酒をお出ししますが、「乾杯」などはしないのですか? とのお尋ね。お酒を通して一体感を表すのは、茶事では千鳥の盃ではないでしょうか。ここで「千鳥」でひと騒動。

 

「thousand of birds」と訳されたので、「いえいえ千鳥足ってあるでしょ?」と言ったら「酔っぱらいのことか」となり、「千鳥縫い(ちどりがけというらしい)のこと」とだんだん訳が分からなくなりました。

 

私も何となく千鳥と言っていましたが、なぜ主客が木杯を行ったり来たりさせることを千鳥というのでしょうか。

チドリは足を交差したように歩くことから来ているようです。ネットにはチドリの歩く様子の写真や動画がいろいろありました。

 

八寸はソラマメでしたが、アメリカには無いようで、これも英語で伝えるのに苦労していらっしゃるようでした。アメリカではポークビーンズなど豆はいろいろ食べるように思っていましたが、どうやらソラマメは珍しいようでした。

 

お膳を引こうとしたら、お箸を記念に持ち帰りたいと言われました。茶事では黒文字を記念に持って帰りますが、同じ感覚なのでしょうか。縁高の黒文字もお持ち帰りいただきました。

 

 

主菓子は「花しょうぶ」

立礼席は電気炉ですので、ここで中立となります。

 

お客様は6人でしたので、濃茶は3人ずつ2椀を予定していました。濃茶は皆さん初めてでしょうから、飲みにくかったら残してくださいとお伝えしました。結局アメリカの方は一口で次に送られたようです。末客の日本人2人は「甘くて美味しい」と本当においしそうに召し上がっていました。結局3人分の濃茶は6人に十分行き渡ったようです。

 

 

後座の花はベニバナ、干菓子は寒氷の「なでしこ」 このなでしこの英訳をスマホで検索すると「pink」 ピンク色のピンク? ということで、なでしこの写真を探して、それを見せて伝えました。

薄茶を点てるのをやってみたいという方もおられて、お互いに写真をとったりしてにぎやかに過ごしました。

 

 

お客様はアーティストやミュージシャン、エンジニアと様々でした。合気道や写経をされる方もいらっしゃるとか。そのあたりの詳しいお話も伺いたかったです。

 

なによりも嬉しかったことは、8年も前にいらした方が、たくさんのお友達と共にまた来てくださったことです。

 

続けてきて良かったですし、続けられたのも来て下さるお客様が続いたからこそでした。

 

本当に皆様、ありがとうございました。

 

 

 

2023年5月14日

 

今月のうさぎの会は5月14日に行いました。個別のご要望もあり、5月は3回となりましたが、その第1回です。

 

久々に5人となり、ちょっと窮屈だったかもしれません。

それでも濃茶の飲みまわしを復活し、後炭も行うなど、盛りだくさんな会となりました。

 

 

 

 

 

掛物は円相。

大徳寺聚光院508世隋応和尚筆。

円相のとなりに「我に似る」とありますので、円相をおつむに例えているのでしょうか。

 

向付はマグロの漬け、汁は豆腐とスナップエンドウ、煮物椀ははんぺんで作ったエビ真薯です。

 

 

中酒はヘギの酒器で、備前、鍋島、唐津などのぐい呑みを選んでいただきました。

焼き物は鶏肉の塩麹焼き、進鉢はタケノコとがんもどきの炊き合わせ、インゲン、強肴はホウレンソウの胡麻和えです。

 

 

八寸は岡山の方からお土産にいただいたママカリのみりん干しとスナップエンドウです。漬物と湯桶をお出ししてお膳を引き、初炭点前、引き続き主菓子をお出ししました。お菓子はいづみやの「花しょうぶ」です。

 

 

いつもは省略してしまう後炭も行いました。初炭で風炉中拝見する流派と後炭で拝見する流派があることも分かりました。

整った状態の初炭を拝見するという考え方、初炭が崩れたのをどのように後炭でおぎなっていくかそれぞれの亭主のやり方を拝見する、という考え方があるのでしょうか。他の解釈もあるかもしれません。

 

炉では懐石前に初炭を行うので、懐石、中立、濃茶と時間がたち、胴炭も崩れて火箸で割ることができます。

風炉でも胴炭を火箸で割ることもあるそうですが、懐石後に初炭をするので、炉よりずっと時間が短く、そこまで胴炭が崩れるのは難しそうに思います。ですが、実際になさった方もあるとのことですので、やはり炭火の扱い方の習熟が必要なのだと思いました。

 

 

 

干菓子は夏みかん餅、なでしこ、青楓。薄茶はお客様にも交代で点てていただきました。

 

薄茶のお茶碗に現代の高麗青磁があったことから、ちょうど泉屋博古館での安宅コレクションの話、安宅コレクションを収蔵する大阪東洋陶磁美術館をはじめとする大阪中之島の美術館群の話にも広がりました。美術展のキュレーションにも話題が及び、見巧者の方々と感じました。

 

2023年4月5日

 

平日だったためお客様はお二人で、ゆったりとのどかな会になりました。亭主は懐石、点前ともOさん。

 

立礼棚の使い勝手についてもいろいろご意見をいただきました。実際使ってみて初めて分かることもたくさんありましたので、どのように使っていくか、これから試行錯誤です。

 

 

鍾馗を描いた小さな凧が色紙に貼ってあるものを飾りました。そこに一緒に入っていた貫之の和歌を掛物に。両方ともだいぶ以前にお茶とは直接関係のない方にいただいたものですが、作者等は不明です。

 

 わがせこが ころもはるさめ ふるときは

    のべのみどりぞ いろまさりける

 

紀貫之の古今集とはちょっと違います。本歌はこちら。

 

 我が勢子が 衣はるさめ 降るごとに

    野辺の緑ぞ 色まさりける

 

新緑が萌え出る時にふさわしい歌です。

 

 

向付はサーモンのカルパッチョ、汁は枝豆たっぷりの枝豆豆腐です。

煮物椀はエビ真薯。すり身を使わず、ミキサーやフードプロセッサーも使わない、はんぺんの簡単真薯。なかなかの優れものです。

 

 

 焼き物はぶりの照り焼き、進鉢は大根と人参のキャベツ巻、巻き終わりのキャベツの葉がはがれてこないように、薄いお餅を挟んであります。もう一品は人参のしりしり。

 

 

 

炭はないので、懐石後、主菓子「春の水」を。

 

 

後座の花は都忘れとクレマティス。クレマティスキボという種類の花後の種だそうです。姿も大きさも茶花としてちょうどよいと思いました。アフリカ産だそうです。遠くから旅してきたのですね。

 

濃茶はお客様に伺って、中村康平作の粉引茶碗で飲みまわしました。亭主の要望で私が練りました。コロナ以降各服となっていましたので、久しぶりに濃茶らしい濃茶となりました。もともと濃茶は各服の流儀もあるので、慣れ親しんだ濃茶の味はそれぞれなのだと思います。濃茶器は平安喜山。

 

 

桜は終わりかけですが、干菓子は伊賀の銘菓「さまざま桜」、軽井沢のミルクキューブチョコレートラスク(お土産にいただきましたがなかなか良いお味でした)、柚子ゼリー(知る人ぞ知る長野のスーパーTSURUYAのオリジナル)の3種。

 

薄器は小人数でしたので、こぶりのまがき写しの独楽棗(岩淵裕二作)、後座は黄梅院太玄「一期一会」です。

変則的は左勝手となるので、ご亭主はやりにくかったことと思いますが、柔軟に対応していただきました。また実際つかってみてわかることもあり、お客様共々、色々なアドバイスも参考になりました。

 

 

2023年3月12日

 

前回は軸を掛けるところがまだできていませんでしたが、今回は完成。

 

掛物は「春風門に入りて千花嘴を生ず」

たくさんの花の芽が膨らんで、鳥のくちばしのようだ、という、今ならではの軸。

 

軸を掛けてみると高さも程よく、この軸が掛けられてよかったと感謝です。

 

花はオカメザクラと白い花桃、コデマリです。私の流儀ではたくさん花を入れないのですが、他流では何種も入れているので、真似してみました。

 

これまでは風炉のみでしたのでほとんど出番のなかった焼き物の香合を飾りました。陶楽の「卯に波」です。

3月3日は過ぎていましたが、お雛様を飾って。

 

 

向付は時期のホタルイカの酢味噌和え、煮物椀はアサリの真薯、焼き物は鰆のつけ焼き、強肴はサツマイモ、タケノコ、フキの炊き合わせ、もう一品は菜の花の辛子和えです。

 

 

八寸は北海道のお土産の焼き鮭とチーズ、もう一品はチーズの味噌漬け。チーズが重なってしまいました。

 

 

今回もお客様が桜のお菓子を作ってきてくださいました。ご持参の箱を開けた時、その色のあまりの美しさに感激。

乾山写しの春の草花の器にもぴったりでした。

 

 

濃茶器は山本哲也の銀採、前回は薄器として使いました。嘉元ゆり子さんの仕服で。

薄器は岩淵裕二さんの研出し中次、黒漆の下から青漆がむらむらと見える中次です。

 

お客様の後にかかっているのは、孟浩然の「春暁」の一部「夜来風雨の声」を書いたものです。友人の作品。

 

椅子席だとお客様もリラックスしてお話がはずみます。私も加わって長々とおしゃべりをしましたが、何について話したのだったでしょうか。いつも席中のお話が楽しそうだな、でも何の話で盛り上がっているのかなとキッチンで思っていましたが、いざ加わってみると何を話したかおぼろです。

 

2023年2月5日

 

 最近長時間の正座が難しくなってきました。遊びすぎだという説もありますが・・

正座が難しいお客様には椅子をお出しできますが、点前をする亭主はそうはいきません。立礼もできるといいな、と思っていましたら、DIYで作ってくださる方が現れました。今回初めての立礼席でのうさぎの会です。

 

 

掛け軸を掛けるところがまだ未完成でしたので、色紙を飾りました。「茶は知己に逢いて喫す」 私の好きな色紙です。

 

立春をすぎたばかりでしたが、花は早くも春を伝えるようなフリージアとカスミソウです。

 

 

向付はカキのみぞれ和え、汁は大根です。

煮物椀はエビ真薯、タラの芽を添えて早春を感じていただければと思いました。

 

 

焼き物はカジキの幽庵焼き、強肴はヤツガシラ、人参、コンニャクの炊き合わせでした。

八寸はつぶ貝の燻製とミニトマト、漬物は白菜、キュウリ、ナスでした。

 

 

立礼席はIHヒーターを使うことにしましたので、炭点前はありません。

 

主菓子は、冷凍で配送してくれる「いづみや」の「春告げ鳥」

自然解凍していただくと、出来立てのような柔らかさで美味しかったです。

 

最近、上生菓子を扱うところが減ってきていたので、これからも使いたいと思いました。お茶席用の干菓子もあるので、そのうち干菓子も試してみたいです。

 

 

立礼席は部屋の都合上、左勝手(逆勝手)になります。

濃茶器は平安喜山、茶杓は菱田賢二作です。濃茶は浜本洋好の片口で練り、森里陶楽の萩、中村康平の粉引、「木兎」印の赤楽に分けました。

 

干菓子は盛岡の「大吟醸ぽっ」と寛永堂の「季節の干菓子」という詰め合わせ。振り出しの手の込んだ網は、今日のお客様が以前作ってくださったもの。糸を撚るところからなさるという大変な作業だと思います。

薄器は見立てで焼き物です。

 

立礼席を作る

 

以前うさぎの会に来ていただいた方のお連れ合いが、忙しいお仕事の合間に、工夫を凝らした立礼棚を作ってくださいました。何回を足を運んでいただき感謝です。

 

高さや広さにはこだわったつもりですが、当然のことながら畳の上で行うのとは勝手が違います。この棚にふさわしい所作をこれから試行錯誤しましょう。

お客様も正座より楽ですから、「立礼席ができたら行くわ」という声もいくつもいただきました。

懐石だけ立礼にするか、すべて立礼にするか、またはこれまで通り和室でするか、その時の状況やメンバーに合わせて柔軟に変えていくことになると思います。

 

私は膝の具合の心配をせずに亭主ができたのがありがたかったです。でも正座をすることもあきらめてはいません。お客様にはいつでも椅子をお出ししますので、遠慮なくどうぞ。

 

これまでお茶会の時の物置にしていた部屋が立礼席になりましたので、物の置き場がなくいなりました。断捨離にも励んでいます。

 

2023年1月22日

 

うさぎの会前日夕方に、亭主をなさる方から怪我をして行かれなくなったという緊急連絡。かなりの怪我のようでしたが、すでに準備されていた懐石のお料理をわざわざ届けて下さいました。

 

作ったものを運んでくるのも大変だな、と思いましたが、こちらでは何の準備もしておらず、痛々しい包帯姿でお届けいただきました。怪我の不安もあったことと思いますが、有難いことでした。

 

また、お菓子もお客様手作りの花びら餅とうさぎの薯蕷饅頭をお持ちいただきました。

 

 

軸は「一二三四五六」 禅の教えの中にもあるそうですが、難しいことはさておき、1年の初めに1からスタートといったように考えてみました。

向付はタイとサーモンを紅白の花のように盛り付けたもの。汁は白菜の信田巻きです。

煮物椀は卵豆腐、これだけはご亭主が間に合わず、私のところにある材料ということで卵豆腐になりました。

 

 

 

お酒はうさぎの絵がかわいいと言って、お客様がお持ちいただいたのを瓶ごとお出ししました。うさぎと紅白の梅花の絵で、うさぎ年の新年にふさわしいお酒(瓶)でした。

焼き物はタラ、預け鉢は高野豆腐の挟み煮、強肴は五色膾でした。

 

コロナになってから千鳥の盃は省略したり形だけになってきました。今回はもともと千鳥の盃を行わない不白流の方がいらしたので、教えていただきました。一巡して正客前に戻って、おそらく正客の杯をお借りして次客に注いでいただいて納杯となるようです。

 

 

私は最初のご挨拶くらいは座っていられましたが、懐石の立ったり座ったりがやりにくく、お詰めの方に半東をしていただきました。

 

お点前は急遽、不白流の方にお願いしました。

不白流の炭の組み方です。通常は紙釜敷は使わないそうです。

 

 

主菓子はお客様手作りの花びら餅とうさぎの薯蕷饅頭。

 

 

後座の花は貝母、風炉の季節の花と思っていましたがちょうど花屋さんにありました。

濃茶器は先生からいただいたもので、新しい箱で「青織部」とあるだけです。仕服は綿の更紗で、先生がお持ちの布で仕立ててもらったものです。茶杓の銘は「玉兎」以前良くいらした方が削ってくださったものです。

茶碗は中村康平の粉引、木兎印のある赤楽、森陶楽の萩風の京焼、片口は唐津の浜本洋好です。

 

 

干菓子はナスの砂糖漬け、初なすびを使いましたが、初夢漬けとも言うそうです。そのほか、鳩こよみ、今年の一年を占う辻占、お菓子の中にくじが入っています。私のは「善に勝てる悪はなし」「宝舟がまいこむ」でした。よいことがありそうです。

棗は唐松沈金、お正月らしくちょっと華やかに。

 

 

今回は突然亭主が来れなくなるといった事態でしたが、皆様のおかげで無事に終えることができました。いつもお客様に助けていただいて、ありがたく思っています。

これからもどうぞよろしくお願いします。