2023年12月24日

 

この日は前月に初めて来られた方が、お嬢さんを伴って、また来て下さいました。

 

つたない会ですが、嬉しいことでした。

 

前日に引き続いて、本日は和室で。掛物と花は同じく「千秋楽」と水仙。

 

風炉ですが、炉のように最初に炭点前を行いました。懐石後だと種火がほとんど残らないので、最初に炭をついでみました。

 

 

向付は牡蠣の香酢かけ、汁は大根です。煮物椀は飛竜頭、焼き物はクリスマスらしくローストビーフです。進鉢は蓮根、椎茸の炊き合わせとブロッコリーです。

 

 

八寸は昆布巻きとミニトマトのはちみつ漬けです。お客様のご要望で千鳥の盃も行いました。

 

主菓子は前日同様「風花」です。

 

 

濃茶器は桶谷常一、茶杓は山崎如悦の「萬代」、茶碗は森里陶楽の萩です。

干菓子も前回同様、和菓子 結のクリスマスバージョンです。

 

 

二日続けての夜咄でしたが、着物が大変なことになっていました。

帯の跡がくっきり白い。ということは全体すすだらけということでしょうか。

 

お客様のお召し物は大丈夫だったでしょうか。

 

これまで何回か夜咄をしてきましたが、こんなことは初めてです。

1日目の初めての立礼席での方が、足袋の汚れ方がひどかったです。部屋が狭いせいか換気が悪かったのか、またやる時は要注意ですね。

 

 

今年も間もなく終わります。1年間、いろいろな方に来ていただけて、うさぎの会も回を重ねることができました。来年もどうぞよろしくお願いします。

 

2023年12月23日

 

立礼席で初の夜咄を行いました。

 

夜咄はろうそくの灯のおかげで、様々な不手際も帳消しにしてくれるようです。

 

部屋の構造上、エアコンの風がろうそくにあたってしまい、予想よりずっと早く燃え尽きてしまいました。

 

やってみないと分からないことがいろいろあるものです。

 

 

 

掛物は「千秋楽」と柚子の絵。今年もまもなく終わろうとしています。水仙と共に飾りました。

今回は納会でよく出される埋み豆腐。お豆腐の上にご飯を乗せて汁をかけます。私の先生はそれに白身魚を添えていたので、それを思い出しながらタラを入れてみました。

向付はホタテ。

煮物椀は巻き湯葉、大吟醸の酒粕が手に入りましたので、焼き物はメロの粕漬けです。

 

 

強肴はエビと芽キャベツ、冬至の翌日でしたので、かぼちゃのそぼろ餡。

八寸は小肌といぶりガッコチーズ。小肌は美乃家のオリジナル。見た目も美しく美味しかったです。

 

 

主菓子は「風花」 濃茶は森里陶楽の萩茶碗、茶杓は安住楽風の「河社」、お茶は星野園の孤峰の昔。干菓子は右上は両口屋の姉妹ブランド「和菓子 結」のクリスマスバージョン、左下は盛岡の竹好のもの。

 

今回は自宅で茶事をやってみたいというお客様もいらして、そんなお話もはずみました。

 

2023年11月26日

 

立礼席での掛物は「天馬行空」源高湛(たかやす)書。これは森鴎外の別名。小説以外ではこの名前を使うことが多かったそうです。複製です。

 

中国の詩の言葉で、天馬が空を行くように、思考や行動が自由奔放なこと。

 

花はオンシジウム。

 

 

向付はヒラメ、汁は粟麩です。煮物椀は真薯。これは新潟の竹徳かまぼこの「カニしんじょう」です。市販の真薯はかまぼこのように固いものがほとんどですが、これは柔らかく、煮物椀に使ってみました。東京ではデパートの催事の時にしか購入できませんが、偶然求めることができました。たまにはいいかな。

焼き物は阿波尾鶏のマスタードソース添え、強肴はサトイモ、コンニャク、カブの葉の白菜巻きです。

 

 

もう1品はアボカドのヨーグルト和え、八寸はスモークサーモンと柚べしを干し柿で巻いた柚子白柿です。

 

 

主菓子は猪子餅。たっぷりのクルミ入りでした。

 

濃茶器は友人から頂いたもの、濃茶は星野園の孤峰の昔、茶碗は「木兎」の印がありますが、それ以上のことは分かりません。箱の表には「清泉洗耳 聴招風(清泉で耳を洗い、招風を聴く)」という文字が浮き彫りになっています。招風であって松風ではありません。

 

 

干菓子は津山銘菓「桐襲(きりかさね)」、和三盆のムンクの「叫び」は大塚国際美術館のお土産、それと季節の柿琥珀です。

 

薄器は岩淵裕二作・畠山美術館蔵の「まがき」写しの独楽棗です。

濃茶器も薄器も小ぶりで、茶杓も茶箱用の短いもの。お客様がお二人だからこその取り合わせでした。

小雨もようの日でしたが、お話も弾んで、楽しんでいただけたようで幸いです。

 

2023年11月23日

 

今回はホームページを見て初めていらっしゃった方と、1年以上前に来ていただいた方々がお客様でした。

 

11月は炉開きですが、うさぎの会は風炉のみですので、炉開きの風情は猪子餅のみとなりました。

 

 

軸は「露堂々」「明歴々露堂々」の一部です。

 

以前お客様が、これは毛筆ではなく竹筆ではないでしょうか、と言われたことがありました。竹筆は穂先が動物の毛ではなく、竹を細くカットして、さらにたたいて繊維をほぐしたものだそうです。自由な線は書きにくいけれど、硬質で豪快な線が書けるらしい。日本ではもう竹筆を作る方がほとんどいないそうです。

 

書かれた方はよく分からず、「明」らしい字は分かりますが、落款も分かるようで分かりません。外箱(桐箱ではなく紙の方)に「井野口老師」とあることから、お客様が「グーグル先生に聞いてみましょう」とみんなで調べたら、永平寺別院の井野口禅明老師と分かりました。自分で調べておけ、ということですが、怠け者の私は皆さんに大いに助けていただきました。

 

 

向付はサーモンとタイ、汁は餅の白菜巻、煮物椀は真薯、焼き物はタラの味噌焼き、進鉢はサトイモとかぼちゃとタケノコの炊き合わせ、強肴はホウレンソウのお浸しです。

 

 

 

今回のお客様は全員お酒のお好きな方で、嬉しかったです。あまりお酒をいただかない私は、お酒が残ると料理酒が増えるばかりなのです(*_*;

 

八寸はチーズちくわと柚子白柿、正客のお流儀は千鳥の盃がないとのことでしたが、そこは臨機応変、千鳥もいたしました。

 

 

炭点前をして、猪子餅をお出しして、前席は終わりました。

香合は炭道具を打ち出したもので、由来や作者も不明ですが、絵柄に惹かれて求めたものです。

 

 

後座の花はオンシジウム。

水指は四君子(蘭、菊、梅、竹)の染付、濃茶器は亭主がヤフオクで求めた大海。

お客様は4人でしたので、2椀に分けて飲みまわしました。

 

 

それから後炭、風炉中拝見も行いました。

 

干菓子はお土産がいろいろあり、津山銘菓「桐襲(きりかさね)」、大塚国際美術館の和三盆はムンクの「叫び」、それから季節の柿琥珀です。

薄茶はお客様に交代で点てていただきました。薄器は岩淵裕二作研出し中次。

 

初めての方もだいぶ以前に来ていただいた方も、お茶に限らず多岐にわたってお話が弾みました。気が付いたら外は夕暮れが迫り、日没直後の富士山のシルエットがくっきりと見えていました。

 

2023年10月4日

 

数日前には真夏のような暑さだったのが、急に秋らしい日となりました。

立礼席にて、久しぶりのお客様を迎えてのうさぎの会となりました。
今回は点心として、私も席中で一緒にいただき、会話を楽しみました。

 

軸は「雪月花」花はホトトギス。向付はタイ、縁高にいろいろ盛り合わせ、煮物椀は枝豆真薯。

やはり席中でいろいろお話ができるのは楽しいですね。

 

 

主菓子は「錦秋」 

濃茶器は友人にいただいた小ぶりな物、詳細は不明です。濃茶茶碗は中村康平の粉引です。

 

立礼席はIHヒーターを使っているので、釜の高さの調整ができません。そこで筒釜をかけたので、柄杓は風炉のような置き方にしました。

まっすぐ柄杓を引くのですが、ここで超常現象?が・・。最初は私が柄杓を斜めに置いてしまったのかと思い、正確にまっすぐ置くようにしてみましたが、いつのまにか斜めになっている。お客様も寄っていらして、やがて動いているのが分かるとおっしゃいます。確かにゆっくり左へ動いているのです。なぜだろうと皆で頭をひねっていると、一人の方が柄杓の切止が振動していることを発見。IHの加熱時の振動が柄杓に伝わっているようなのです。それがなぜ柄杓を動かすのかは分かりませんが、IHを保温モードにするとその振動がありません。IHの仕組みが思わぬ影響を及ぼしていたのです。

 

 

干菓子は柚子餅、くるみの初恋、メープルシュガー。薄器は川端近左の秋の夜棗です。

茶碗は夜寒焼きと古清水。夜寒焼きの茶碗は覆輪がついており天目茶碗なのですが、薄茶茶碗にしています。釉が美しいのと「夜寒」というのが季節の移ろいを感じさせて好きな茶碗です。高台も不思議です。もうひと椀も古い清水らしい色合いだと思います。

 

2023年10月1日

 

10月に入ったとはいえ、まだまだ暑さが厳しい日でした。

 

月初めということもあり、名残りという気分ではありませんでしたので、花はホトトギス1種で。

 

8月は体調不良の方が続出して中止、9月はお申込みがなくて中止、ということで3カ月ぶりのうさぎの会でした。
久々でしたので、若干戸惑いました。

 

軸は「雪月花」

 

最初見たときは円相かと思い、でもなぜ季節外れの「雪」の文字があるのかと思いました。円相は月で、よく見ると桜の花びらが舞っていたのでした。小堀遠州の三男である小堀権十郎筆。

 

 

向付はタイ、汁はジュンサイです。

煮物椀は肉団子を白玉粉で包んだもの、焼き物はブリ、預け鉢は大根、かぼちゃ、厚揚げの炊き合わせ、強肴はアスパラのマリネです。

 

 

箸洗いは湯剥きしたシャインマスカット、八寸はチーズと栗。漬物は大根、人参、キュウリの三種。

初炭点前の後の主菓子は、時期的には数日おそくなってしまいましたが「十五夜」でした。香合は山崎如悦の槐材の栗です。

 

 

濃茶は重ね茶碗で。主茶碗は中村康平の粉引、子茶碗は加藤宇助の伊賀釉。茶入れは平安喜山、茶杓は以前良く来てくださった方が削って下さった「玉兎」、お茶は星野園の延年の昔でした。

続いて後炭。省略されることが多いので、お客様からも好評でした。

干菓子はお月見の和三盆、京都の白川路、カナダのメープルシュガーと、いただいたお土産などとなりました。

棗は近左の秋の夜棗、茶碗は夜寒焼と、この時期ならではのものでした。

 

 

水屋からはうかがい知れませんが、なにやらお話が弾んでいるようで楽しそうです。

今回はお詰め希望の方がいらしたので、お願いしましたが、思った通りの体験ができたでしょうか。

 

2023年7月9日

 

梅雨明け前だというのに、連日35度などという猛暑が続く中、おいでいただきありがとうございました。

 

暑さでぐったりしている自分に「喝」ということで、建仁寺の益州和尚の色紙を掛けました。

絵は水の神である龍。

 

今回は朝茶の形式で行いました。

 

朝茶は最初に炭点前を行います。

 

そしてお客様が一人ずつ風炉中拝見を行いました。

うさぎの会では風炉中拝見はやらないことが多かったので、貴重な機会となりました。

 

 

向付は胡麻豆腐もどき、汁はさっぱりと湯むきしたミニトマトと大葉です。

煮物椀は真薯とシイタケ、人参、水菜です。朝茶ですので、焼き物はありません。

 

 

お預けは久々にかわいいお猪口です。

薄手で涼し気に感じるものでした。

上戸のお客様には物足りなかったでしょうか。

 

酒器は角居康宏の錫製。

 

進め鉢はかぼちゃとインゲン、強肴はきゅうりとワカメの酢味噌和えです。

 

 

八寸は笹かまぼことミョウガの甘酢漬けです。千鳥はなし。朝茶は漬物がごちそうということで、6種。

 

主菓子は「朝涼」いづみや製です。

ここで中立ですが、この日は炭がうまく熾らず、中立の間に炭を熾し直したり、お釜を温めなおしたりと、見苦しいことになってしまいました。

 

 

後座の花は竜胆と撫子。7月ですので葉蓋の風情で。といってもこれは布製です。お盆の飾りに、今では布製の蓮の葉が売られているのですね。それを葉蓋代わりにしてみました。

やはり生の葉のようにはいきませんが、こんな点前もあるというご紹介です。

 

葉蓋は梶の葉を使います。梶の葉に願いを書くというのは平安時代から行われたようで、

後拾遺和歌集には「天の川 とわたる舟の かじのはに 思うことをも 書きつくるかな」という歌がおさめられています。

現在は七夕飾りには短冊に願いを書きますが、古くは梶の葉に願いを書いたのですね。

お茶ではそれにちなんで、梶の葉を水差しの蓋としているのでしょう。

 

 

前回いらしたお客様のお祖母さまが奥田流の先生で、お茶道具が残っているので使ってくださいとお持ちになりました。ご亭主が譲り受けたお道具を今回使いました。

続き薄でお菓子は柚子琥珀と六花亭のリキュールボンボン「六花のつゆ」です。

 

朝茶はさらっと済ませるはずが、炭の不具合もあり長引いてしまいました。