2022年12月21日

 

今年も残り少なくなってきました。「一年三百六十五日」の軸を掛け、1年を振り返る時を感じました。

 

1年の時を振り返ったのかどうか、席中は笑いが巻き起こっていました。なんのお話だたのでしょうか。水屋は気になるところです。

 

皆様が楽しいでいただければ、それに越したことはありません。

 

軸の天地、外回しが暦となっています。干支が見えるので調べればいつの年代か60年単位で予想ができそうです(が、やってません)。

 

 

夕方からの席でしたので、シルエットの富士山と沈む夕陽を見ることができました。

皆さん、写真をとったりしていました。

 

このところ急に寒くなってきましたので、汲出しは甘酒を、コロナの関係もあって夜咄で行われることが多い前茶は省略しました。

 

 

向付は寒いときにぴったりのウナギのかば焼きの蕪蒸しです。汁はサトイモ。

煮物椀は鶏の丸、焼きものはレンコンにひき肉を挟んで焼いたもの。預け鉢は大根と厚揚げの炊き合わせ、八寸はシイタケの含め煮とたたみいわしです。

 

暗くて写真ではよく見えず残念です。

 

 

炭点前に続き主菓子をお出ししました。最近は主菓子を買うのもなかなか大変で、クリスマス関連にしたいと思いましたがかなわず、「雪笹」という銘でした。

でもお正客に「クリスマスのモミの木ですね」と言っていただき、うれしい誤算でした。

 

 

続き薄ですが、干菓子は正客の方の手作り、ゆず味の雪だるまです。

もう一種は栗の渋皮煮を甘納豆風にしたものでした。

 

いろいろ不手際がありましたが、ろうそくの幻想的な雰囲気ですべて帳消しのようです。

 

炎をじっと見つめる方もいらして、非日常の世界を楽しんでいただけたかと思います。

 

2022年11月28日

 

今回のお客様はスキーや山に行く方々でした。

 

軸は佐藤春夫の「柿もみぢ」の詩。

 

柿の葉も落ち、木守りのように実だけになった木の向こうに、深く晴れ渡った青空を感じます。晩秋らしい風景が思い浮かびます。

 

  柿もみぢ

もみぢ葉の一夜の霜に

なごりなく地に散り敷けば

梢には実のみ残りて

秋そらは鋼(はがね)に似たり

 

 

 

風炉先は堀越宗円の光悦垣、堀越宗円は大正時代の女性の茶人、西洋美術館を作った松方コレクションの松方幸次郎の妹さんだそうです。益田鈍翁とも親交が深かったようです。釜は那須で作品を作っている中澤恒夫の黒鉄炎筒釜です。

 

懐石の向付はイナダ、汁は豆腐、煮物椀は真薯に秋らしくモミジ形の人参、しいたけなど。焼き物はぶりですが、落ち葉に大根おろしをのせて添えました。

 

 

進め鉢は鶏の丸、サトイモ、春菊、強肴は人参のしりしり。

席中ではしりしりの作り方を尋ねあったりとなごやかでした。

 

 

本日のハイライトはお客様手作りのお菓子。可愛らしいうさぎの薯蕷饅頭です。それだけではなく、練切りのミカンも作ってくださいました。ちょっと皮のむけているところがリアルですね。写真では分かりませんが、中の白い筋もきれいにできていて、本物みたいでした。

もちろん美味しくいただきました。

 

 

後座の花はオンシジューム、濃茶器は久しぶりにいらしたお客様に以前いただいたものです。窯元なども分かりませんが、菊桐の仕服が添っていました。

続き薄で、棚は茶道学会の前会長のお好みの仙翁棚、最後の柄杓は左手で飾るので、裏千家のご亭主にはやりにくかったこととと思います。私は棚はこれしかもっていないのでした。

 

 

私が長時間の正座が難しくなり、最近は亭主も他の方にやっていただいています。自分で亭主をするには立礼席にしないとできないと思っていたら、お客様でいらした方のパートナーがDIYで作ってくださることになりました。

お仕事の合間ですので、気長にできるのを待っていますが、その間に椅子やテーブルなどをそろえていました。

 

今回、おみ足の悪い方がいらしたのでお出ししたら、私も、私もということで、3人の方に使っていただくことになりました。準備しておいてよかったです。

これからはそういう時代になるのでしょうね。

 

2022年10月10日

 

10月は名残りの月、2人でお花を持ち寄って、残花を入れることができました。

リンドウ、ホトトギス、数珠サンゴ、吾亦紅、利休草などです。小ぶりの手付き籠に入れました。

 

今回は亭主の体験をしたいという方が亭主となられました。

 

 

 

 

軸は「時々勤めて払拭(ふっしき)せよ」

紫野了庵書です。

常に心の塵を払いなさいという言葉ですね。

 

向付はイカの菊花和え、汁は粟麩、煮物椀は名残らしく吹き寄せ風沢煮椀。イチョウやモミジの型抜きをしたりしながら、たくさんのお野菜やキノコ、木の実を入れてみました。

 

焼きものは鰆の幽庵焼き、進鉢はサトイモとかぼちゃ、焼きナスとシメジの胡麻和えです。イカが思ったより少なくて、皆さんちょっぴりになってしまってすみませんでした。

 

 

八寸はスモークサーモンの栗。栗は焼き色を付けようと思いましたがうまくいきませんでした。栗ご飯用に売られていたものです。沢煮椀のはふつうのゆで栗でした。

 

千鳥の盃はエアーでやりたいというご亭主の希望でしたので、そのように。

 

 

お菓子はご亭主が吉祥寺の茶席用お菓子の専門店亀谷萬年堂からお取り寄せしてくださったのに、写真を忘れました((+_+)) 申し訳ない。

主菓子は浮島と栗の入った羊羹の「秋のみのり」、干菓子は和三盆の「初もみじ」、味噌煎の「遠山」でした。

東京はなかなか良い干菓子がないのですが、さすがにおいしい干菓子でした。

 

 

濃茶は各服点て。お茶碗はご亭主持参の了入の赤楽、三島など。茶入れは浅井竜介、仕服は嘉本ゆり子、茶杓は黄梅院太玄の「一期一会」

その後続き薄で薄器は魚野自醒(明治の石川県の漆芸家)の黒捻菊唐草吹雪でした。

 

続き薄はお客様の応対がややこしいのですが、ご亭主みずからお客様をサポートされていました。

11月に本番のご亭主をされるそうなので、少しはお役に立てたでしょうか。お付き合いいただいたお客様もありがとうございました。

みんなでああだ、こうだと言いながら、ワイワイやっているのがうさぎの会です。

よろしければまたお付き合いください。

 

 

2022年9月17日

 

9月は3カ月ぶりのうさぎの会となりました。

 

花は小型のホトトギスと利休草。花入れをいくつか試してみましたが、籠が一番似合いました。

 

軸は大綱和尚の「淀の川舟」

「引く人も引かるる人も水の泡の

  浮世なりけり淀の川舟」

 

この軸を掛けると「方丈記」の「ゆく川の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。 よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし」に通ずる無常観を感じます。

 

その一方で、(引く人も引かれる人も)人はみな平等なのだ、という解釈もあるようで、それもなるほどと思われます。

 

 

今回の亭主は懐石を学ばれた方がご自宅でほぼ全部作って運んでこられました。私は自宅でそのままお出ししているので、運ぶだけでも大変なことと思います。

 

向付はタコ。玉ねぎときゅうりのすりおろしにオリーブオイルを加えると、キュウリの緑が保たれるそうです。写真は不自然なくらい鮮やかな色になってしまいましたが、実際はキュウリの色のままです。

 

汁も1回目は大根、2回目はサツマイモと実を変えるそうです。ずいぶん手がこんでいますが、習ったことをしっかり実践されていて素晴らしいと思いました。

 

3回目はまた別のものを用意しておくのでしょうね。

うさぎの会は体験会ですので、3度目の汁替えの時、亭主の「いかがですか」という言葉に素直にお椀を出される方もいらっしゃいます。私はそれはそれでありだと思っています。というかそれが普通の方の感覚だと思います。

 

 

煮物椀は鶏団子を白玉で包んだもの、焼きものは鮭の幽庵焼き。進鉢は冬瓜のあんかけ、キノコのおろし和えです。白玉は作り置きができないので、その場でこねて包んでゆでました。お客様をちょっとお待たせしたかもしれません。

 

 

八寸はニシンの昆布巻き、うてな、ミニトマト。

 

うてなは、食用菊のガク。こういう使い方があることを教えていただきました。

 

主菓子は秋桜。炭点前で使った香合は槐の木で作られた栗を模したもの。山崎如悦作。

濃茶器は桶谷定一、茶碗は各服点てで、加藤宇助の伊賀釉、白薩摩俵型、中村康平の粉引茶碗、菱田賢二の陶と漆の茶碗でした。茶杓は太玄和尚の「一期一会」です。

 

 

干菓子はマスカット琥珀とレモン風味のえびせん「風薫るスイートレモン」、えびせんとレモンはちょっと微妙な取り合わせでした。

 

棗は初秋ならではの秋野夜棗、露のしずくがが錫の玉で表されています。

茶杓は濃茶と同じです。

 

本格的に懐石を習った方から教わることがいろいろありました。ただ習うだけではなく自分でやらなければだめだな、と思って実践されるのも素晴らしいですね。

 

実践、体験の場として、うさぎの会をこのように活用していただけてうれしいです。